訪日旅行者を食事に連れていって、こんな経験ありませんか?
「おいしい」と言ってくれるけど、箸が進んでいない。完食してくれなかった。
「どう?」って聞いたら、反応が微妙だった。
今回は、最高のおもてなしをしたつもりなのに、思いが届かなかった経験のあるあなたにお届けします。
喜んでもらいたいだけなのに
日本の食文化は独特な食材や料理はもちろん、食に対するこだわりや盛り付けなど人気が高く、旅行者は本場で食べたい、写真に収めたい、独特の雰囲気で味わってみたい、といったさまざまな期待を込めて来店します。
しかし、実際に外国人旅行者がその魅力を存分に楽しむことができるか、また美味しいと感じることができるかは別問題。
個性的でエキゾチックな名物料理はハードルが高かったり、洗練された味わいが、逆に伝わりづらいこともあることでしょう。さらに、滞在日数が長く、外食にしか頼れないとなると、毎回新しい料理に挑戦する気も失せるものです。
お客様に喜んでもらいたいというその真心は嬉しくても、それがもてなす側の自己満足だったらもったいないですね。
どんなに洗練された食事でも
お寿司が好きと言ってくれるお客様でも油断は禁物。
自称シーフード好きのある訪日旅行者が、ツアーで自然豊かな海辺の町を訪れたときの話です。
その日は老舗旅館に泊まり、夜は新鮮な海の幸が中心だったそうです。
ここでしか味わえない新鮮な食材が並ぶ豪華なメニュー。舌の肥えた人にわかる一流の料理が、次々と運ばれ、ガイドは「これは今朝とれた〇〇」「これは高級な〇〇」とたいそう嬉しそうに説明してくれます。
彼は勇気を出して試したものの、完食できたのは焼き魚だけ。出してくれた人にも悪いし、好き嫌いあるようで申し訳ないし、なんとも後味の悪い経験だったそうです。
(そして、寝る頃には空腹だったそうです)
着地点はどこに
海外からのお客様に最高の食体験を提供し、最高の状態で食事を楽しんでもらいたいという受け入れ側の思いと、そのおもてなしの気持ちに応えられないかもしれない
旅行者の気後れはどうすり合わせていけばいいのでしょうか。
逃げ道を作ってあげること
もてなす側に「せっかくだから」「~しなきゃもったいない」という期待があると、それを裏切られると寂しいもの。
そのプレッシャーは伝わってしまいます。
訪日旅行者に喜んでもらいたいという宿泊施設、飲食店さんと旅行者を案内する立場の方は、以下を考えてみてください。
1. 洋食のオプションも用意しておく
食事が純和食になる場合は、洋食のオプションも用意しておくといいでしょう。
もちろん外国語のメニューがあれば親切ですし、用意できない場合は、写真があればだいぶ違います。
それにGoogleレンズで画像翻訳するという奥の手も。
2. 人気の料理も用意しておく
飲食店なら万人受けする料理をいくつか用意しておくといいようです。
困ったときは鶏の唐揚げ、焼き鳥、鶏の照り焼きなど鶏肉を使った定番料理をサイドで出しておけば大丈夫と断言する人もいました。
3. これまで食べてきた料理に探りを入れる
これまで自国で食べて気に入った日本食、旅の途中でどんなものを食べてきた、ここ数日の食事はどんな内容だったか…会話の途中でさりげなく探ってみましょう。
食事内容が事前に行程が決まっている旅行もあるかもしれませんが、柔軟に対応できるなら「自分が食べてもらいたい料理 < 相手が食べたい料理」を基準に。
ピザが食べたい、マクドナルドに行きたいと言ってもがっかりしないで。
食べ慣れた味が恋しいときもあります。日本人だって海外でそうでしょう?
それに世界展開している店で出会う日本限定のトッピングやメニューは楽しい土産話にもなります。
まとめ
大切なのは、がまんさせないこと。
旅は本人が楽しむためのもの。
旬の食材を(あなた基準の)最高の状態で食べてほしいという願望は、誰が得するのでしょう?
一方通行のおもてなしにならないように、以上を参考にしながら自分自身にも相手にも簡単なオプションを用意して逃げ道を作ってみませんか。
自分も楽で相手も嬉しいウィンウィンな食体験を応援しています。