言葉の壁はWi-Fiで乗り越える

インバウンド対応

日本は世界中から多くの観光客を魅了する国です。
美しい自然、豊かな文化、おいしい食べ物、安全、そして最近では旅の費用の低さなど、今後も日本を目指す旅行者は増えていくでしょう。
しかし、日本に来る観光客にとって、大きな悩みは何でしょうか?

それは、言葉の壁です。

英語だけならまだしも、韓国語に中国語(繁体字に簡体字)など、旅行先としての日本の人気の高まりとともに、観光インフラを整備するための時間とコストは増大する一方です。

この記事では訪日旅行者の受け入れに前向きな事業者さんにぜひ知っていただきたい、低コストの対策を概説します。

日本語は日本だけの言語

日本語は独自の文字や文法を持つ言語で、多くの外国人にとって難しい言語です。
英語圏やスペイン語圏、フランス語圏は複数国にわたるのに、日本語はこの小さな国土の列島でしか通じません。

さらに日本では英語や他の言語で話せる人が比較的少ないうえ、観光地や公共施設での多言語表示もまだ不十分です。観光客は地図や交通機関、飲食店や宿泊施設などで困ることが多いのです。

どうすればこの問題を解決できるでしょうか?
もちろん、日本人が外国語を学ぶこと、外国語に長けた人材を配置すること、観光地や公共施設が多言語対応を強化したりすることも必要です。

しかし、それには時間も費用もかかりますし、すべての場面で対応できるとは限りません。

日本を訪れる外国人の困りごと

ここで、少しデータを見てみましょう。

訪日外国人向け旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP(好運日本行)」が、サイトを訪れた海外在住の男女891人を対象に行った調査(2023年5月)では、「訪日中に困ったこと、不便に思うこと」として「Wi-Fi環境」がトップの31.5%。次いで「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」が20.2%、「多言語表示の少なさ、わかりにくさ」が17.5%など、言語の問題とWi-Fi環境の悪さが指摘されました。

もう気づきましたね。
Wi-Fi環境を整えれば、続く問題も自然と解決するということに。

Wi-Fiがあれば、観光客はスマートフォンやタブレットを使ってネットに接続できます。
インターネットには無限にリソースがあります。
なければ新たに作成できるのです。

インターネットでできること

例えば、インターネットがあることで、ハード面で整備しきれない以下の側面が可能になります。

  • 翻訳アプリや音声翻訳を使って意思疎通を図る
  • 看板やメニューなどの文字は画像認識でテキスト化または翻訳
    (Googleレンズなど)
  • QRコードによる誘導やアプリで観光地や公共施設の情報や案内を多言語で提供
  • 地図やナビで目的地まで案内
  • 交通機関の時刻表を確認
  • オンライン予約で飲食店や宿泊施設をスムーズに予約
  • SNSやブログで他社の旅行体験や感想を参考にできる

こうしたサービスはすでに存在していますし、多くの観光客は自分の国でも使っています。つまり、彼らにとって馴染み深くて便利なものです。
しかし、これらのサービスを利用するためにはインターネット接続が必要です。

そのためにWi-Fiが必要です。

まとめ

日本では無料Wi-Fi環境の整備が遅れています。
空港や駅などでは無料Wi-Fiスポットが増えているものの、公共の場所や飲食店などではまだまだ少ないと言えます。
また、無料Wi-Fiに接続するためには、メールアドレスの登録や規約への同意などの手続きが必要な場合が多く、面倒です。

観光整備では、無料Wi-Fi環境の拡大と利便性の向上を最優先すべきです。
無料Wi-Fiがあれば、観光客はインターネットに接続して自分で必要な情報を自分で得ることができます。それにより、言葉の壁を乗り越えて、日本をもっと楽しんでもらえます。

私たちも既存の技術と知識に頼りながら、コスパ良くインバウンド受け入れ環境を整えられるメリットがあります。

業界の方は、今後の戦略としてぜひ参考にしてください。